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■ 救命・救急マニュアル

応急救護処置の内容

応急救護とは、負傷者を発見したときまたは負傷者が発生したときに、救急車が到着するまでの間、薬品も器具も使わずに実施することができる救命方法。

具体的な内容は以下の5つ。

  1. 観察
  2. 移動
  3. 体位管理
  4. 心肺蘇生法(気道確保・人工呼吸・心臓マッサージ)
  5. 止血法、その他外傷の処置

体位管理

負傷者は速やかに安全な場所に運び、身体を安静にさせる。その際「負傷部位を悪化させない」「呼吸が楽にできる」体位にすることが大切。

1.負傷者に意識がある場合

負傷者に聞き、本人が一番楽な体位にする。

2.負傷者に意識がない場合

意識がなくなると、舌根沈下や嘔吐物などにより気道の閉塞が起こることがある。これを防ぐために、負傷者を横向きにして下あごを前に出し、両肘を曲げ、上側の膝を約90度曲げ、負傷者が後ろに倒れないような体勢にする。

心肺蘇生法

意識障害があり、心臓の拍動や呼吸が停止もしくはこれに近い状態になったときに行う救命方法。心臓や呼吸の機能を回復させるために行う。方法としては「1.気道確保」「2.人工呼吸」「3.心臓マッサージ」の3つがある。

1.気道確保

負傷者に意識がない場合や呼吸が停止している場合、または呼吸が不自然な場合に行う。一般的なのは「a.頭部後屈あご先挙上法」だが、負傷者に頚椎(髄)損傷の疑いがある場合は「b.下顎挙上法」を行う。

a.頭部後屈あご先挙上法

救助者は負傷者の額から頭部に手を当て、他方の手の人差し指と中指で負傷者のあご先を上方に押し上げ気道を確保する。

頭部後屈あご先挙上法

b.下顎挙上法

救助者は負傷者の頭側から両手で下あごを持ち、これを挙上する。このとき親指は口の両側のやや下に、小指は耳下のあごに置く。下あごが挙上したかどうかは下の前歯が上の前歯より前に出ているかどうかで確認する。

2.人工呼吸

気道確保を行った後も呼吸が回復しない場合に行う。救助者が頭に置いた手の親指と人差し指で負傷者の鼻をつまみ、自分の口から負傷者の口に、胸が膨らむまでゆっくりと息を吹き込む(2秒程度かけて行う)。 まずはこの2秒間の吹き込みを5秒に1回のペースで2回行い、負傷者の反応を見る。ここまでやっても負傷者から呼気が感じられなかったり、咳をするなどの兆候が見られない場合は、心停止と判断して、すぐに心臓マッサージを行うこと。

3.心臓マッサージ

心停止と判断した後に行う。手順は、大きくわけて「(1)圧迫部位の決定」「(2)心臓マッサージ」の2つに分けられる。

(1)圧迫部位の決定

救助者は負傷者のわきに位置する。負傷者の左右の肋骨が合流する地点から指1本分上の胸骨が圧迫部位の基点である。ここにもう片方の手の付け根を置き、両手を重ねて圧迫する。

圧迫部位の決定

(2)心臓マッサージ

圧迫は肘をまっすぐにして体重をかけ、胸骨が3.5〜5.0cm下方に圧迫されるように行う。大人の場合1分間に100回の速さを目安とする。

心臓マッサージ

以上、負傷者に何らかの反応が見えるまで、人工呼吸2回と心臓マッサージ15回を1セットとして、繰り返し負傷者に施す。

止血法

大出血は生命の危険に関わることなので、その場合は直ちに止血しなければならない。傷口を観察して出血の部位と程度を確認し、それぞれに合った止血法を試みること。

1.直接圧迫止血法

傷口の場所や種類に関係なく、最も有効な初期止血方法。傷口にガーゼ、ハンカチ、タオルなどを当て、その上から掌で押さえる。頭部、顔面の傷口にはこの方法が最も効果的である。

2.止血帯法

上肢や下肢の傷で傷口が大きく、直接圧迫止血法では止血できないと判断したときに有効。5cm幅の布製のもの(包帯、ネクタイ、スカーフなど)を傷口より心臓に近い部分で固く二重に巻いて半結びにする。 続いて、スパナや固い棒などを結び目の下に差し込み、止血帯を締め上げるように回す。出血が止まったら、止血帯を巻いた時間を誰にでもわかるようにし(止血帯を用いる場合、30分に1回はゆるめて血液を流す必要があるため)、傷口を心臓より高くして医師の処置にまかせる。

止血帯法

骨折に関する応急処置

次の症状が見られるときは骨折している可能性がある。「1.腫れ、内出血による皮膚の変色がある」「2.局所に強い痛みがあり、触れただけで激しく痛む」「3.手足の場合、左右を比べると外形上に変形が認められる」「4.痛みのため動かせなくなる」 また、骨折かどうか判断つかない場合は、骨折しているものと考えて、以下の処置をすること。

  1. 骨折部を安静にさせる。
  2. 添木を当てて、骨折部位と上下の間接が動かないよう一緒に固定する。
  3. 固定後はうっ血しないよう患部を高く保つ。

骨折すると、合わせて血行障害を起こしやすいので、固定具合を常にチェックする。また、患部が普段曲がらない方向に曲がっている場合は、そのままの状態で固定し、医師の処置にまかせること。
骨折に関する応急処置

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